学会長挨拶
このたび,第59回日本作業療法学会が2025年11月7~9日の3日間に香川県高松市で開催されることになりました.高松市は瀬戸内海に面する港町で,会場の至近にある高松港からは,瀬戸内海に浮かぶ島々を近くに,そして遠くにも望むことができる風光明媚な街です.江戸時代には城下町として栄えたこともあり,街中には高松城や栗林公園をはじめとした史跡や美術館などたくさんの魅力があふれています.何より,学会のロゴにもなっているうどんがこの地で有名であることは言をまたないところです.
さて,当学会のテーマは「作業療法の価値を高めるエビデンスの創出」としました.様々な治療や援助の実施にエビデンスが重視されるようになって久しいものの,日々の臨床に活用できる作業療法のエビデンスは未だ十分とは言えません.近年は,従来のアウトカムに加えて,QOLに代表される患者報告アウトカム(Patient-Reported
Outcome;PRO)や家族・介護者への影響,社会へのインパクトなども重視されるようになってきています.私自身,作業療法の価値は無限大にあると確信していますが,それらの価値を今よりももっと高みに持っていくこと,つまり価値を高めるエビデンスを発信していくことが日々の臨床における効果的な実践や将来の対象者やご家族の幸福につながると信じています.
四国での開催は1989年の第23回愛媛学会以来,36年ぶりとなるそうです.当時の有資格者は4,084名,協会員が3,387名だったことと比較すると,有資格者は29倍,会員は18.5倍に増えており,あらためてわれわれの業界の急成長ぶりに驚かされます.愛媛学会では演題数が177題,参加者は882名でした.高松学会では会員数増加の同率とは行かないまでも,10倍以上の演題数が集まるよう期待したいところです.
プログラムでは従来の基調講演やシンポジウムに加えて,多くの教育講演や教育セミナーの開催を企画しています.そのため一般演題を発表することはもちろん重要で意義のあることですが,新しい知識や技術,あるいは卓越した先輩方の考え方やこつなどを修得できる良い機会になることも間違いないでしょう.聞いてみたい,発表してみたい,参加してみたい,訪れてみたい,と思ってもらえるような学会にしたいと考えていますので,乞うご期待の上,皆さまのご参加を心からお待ちしています.
- 第59回日本作業療法学会
学会長能登 真一
(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部)